住生活月間イベントとして、2023年10月9日にYOROFFiceで「地域活性化に向けた空き家対策セミナー」が開催されました。

イベントの内容

目的

現在、日本には多くの空き家が存在しています。空き家が有ると地域全体の雰囲気が悪くなったり、犯罪、火災の発生率が高くなります。今回のイベントは養老町に有る空き家をなくしていくために、有効な利活用方法を、一般社団法人住教育推進機構登録住教育インストラクターであり、一般社団法人全国古民家再生協会の専門員も務める井上幸一氏が、空き家が生まれる原因、防止策、空き家を増やさないための地域の利活用など専門的な知識を、養老町の住民の方々を中心に分かりやすく講義をしてくれました。

全国の空き家の数はなんとこの20年で1.9倍に!

現住居目的の内空き家は、この20年で182万戸→349万戸と増加し、約1.9倍に増えました。今後2030年には470万戸に増えると言われています。参加者の皆さんの周りにも近所に空き家が増えている、また実際に空き家を相続しており、どうしたらいいから参加をしたという方もいらっしゃり、目に見えて増加をしていることを感じました。また、まだ空き家を相続していなくても、少子高齢化により「空き家予備軍」が全国には多く存在しています。この空き家予備軍への早期対応をすることも重要となります。

空き家をなくすにはどうしたらいい?

現行法(平成26年制定)は緊急性に鑑みて、周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家(特定空き家)への対応を中心に制度的処置を定めているが、実際特定空き家になってからの対応では限界が来ています。そのため、政府は空き家の「活用拡大」「管理の確保」、「特定空き家の除去」の3本柱で対応を強化していく方針に舵を切っています。また、所有者の責務の強化を行い、(「現行の適切な管理の努力」に加え)国・自治体の施策にきょうろくする努力義務を追加しました。また、法では対応しきれない点があるため、より地域での声掛けや、空き家予備軍になりうる個々人の意識付け、宿泊やコワーキングスペースとして利用をする利活用を促進していくことが重要になってきます。

カードを使ったグループワークでディスカッション

講義はただ聞くだけではなく、セクションの合間にカードを使った4〜6名のグループワークを行います。空き家に関するトピックが書かれたカードを裏返しにし、グループの一人がめくったカードについて全員が意見交換を行います。最後にグループごとのまとめを発表。ただ講義を聞くのではなく、講義を聞いた後に自分自身の意見をアウトプットをすることで理解を深め、他の人の意見を聞くことによって様々な視点で考えられるようになります。

質問内容は

「あなたが家に求めるものは?」

「住むなら高層マンション?それとも一軒家の古民家?」

「空き家をなくすために地域でできることは?」

「あなたにとって人生の幸せとは?」

などなど空き家や住まいに係る内容だけにとどまらず、暮らしに深く関わる自身の幸福についても話し合う場が設けられ、様々な意見や見解を享有することができました。

まとめ

空き家をなくすために、行政では様々な法改正等努力がなされており、今後現状の改善に期待がされますが、やはり大切なのは空き家が増える現場にいるそれぞれの地域の住人が、空き家に関する正しい知識を持ち判断ができるようにすること。また、住人がそれぞれに声を掛け合い、空き家に対する危機的意識を常に持ち続けることが大切だと思いました。